指先を酷使するスポーツでジェルネイルで補強はリスク大です!

爪とスポーツ

まだまだ、私の発信が足りないのだと痛感しております。またしても、大事な大会中の高校球児からSOSがありました。

野球では、投球や打撃、捕球など、あらゆるプレーで指先に大きな負荷がかかります。そのため、爪が割れたり欠けたりした経験のある選手は少なくありません。

そのような時、「ジェルネイルで固める」「瞬間接着剤で補強する」という方法を選ぶ人もいます。しかし、本当にそれがベストな選択なのでしょうか。一般の方のお爪の亀裂に対しての対応なら、それでも良いでしょう。しかし、スポーツ選手にその選択はどうですか?

医学的に見ると、スポーツによる爪の外傷は決して珍しいものではありません。繰り返される衝撃は、爪だけでなく爪を作る爪母(そうぼ)にも影響を与え、縦割れや変形など慢性的な障害につながることがあります。スポーツ医学や皮膚科の文献でも、爪外傷の予防と適切な管理の重要性が示されています。

一方で、医療現場ではシアノアクリレート系接着剤(医療用接着剤)が爪床損傷の治療に使われることがあります。しかし、これは医師が損傷した爪床を修復するための医療行為であり、市販の瞬間接着剤を爪の表面補強として使用することとは目的も方法も異なります。私たち施術者(医師でないもの)は医療用接着剤であっても施術することはできません。

また、ジェルネイルやネイルグルーには、接触皮膚炎や爪甲剥離(爪が浮く)、爪へのダメージなどのリスクが報告されています。スポーツ選手が安易に繰り返し使用することには注意が必要です。

ここからは、ネイルヘルスとマックブランドの考えです。

私たちは、野球選手に必要なのは「硬い爪」ではなく、「しなやかに機能する爪」だと考えています。

爪は単なる硬い板ではなく、身体の一部として力を伝え、指先を保護する組織です。
もし割れた爪を外側から硬く固定するだけでプレーを続ければ、本来の爪の働きや力の伝わり方が変化する可能性があります。その影響については、今後さらに研究が必要ですが、少なくとも「割れた原因」を解決したことにはなりません。小さな亀裂が大きな剥がれにつながることも考えられるのです。

大切なのは、応急処置だけに頼るのではなく、割れにくい爪を育てることです。コーティング剤で保護するのではありません。

正しい爪の長さ、切り方、やすりの使い方、保湿、栄養管理、そして競技特性に合わせたコンディショニング。こうした日々の積み重ねが、シーズンを通してプレーできる爪をつくります。

私たちはこれを「ネイルコンディショニング」と呼んでいます。

爪は消耗品ではありません。飾り立てるパーツでもありません。身体のパフォーマンスを支える大切な組織です。

だからこそ、割れた爪をただ固めるのではなく、「なぜ割れたのか」「どうすれば再発を防げるのか」を考えることが、選手生命を守る第一歩になると私たちは考えています。

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全ての高校球児が爪でプレーを諦めなくて済みますように。心からそう願っています。

参考文献

Fixation of the Nail Plate by Tension Band Suture Versus 2-Octyl-Cyanoacrylate Gluing for Traumatic Nail Bed Injuries. Hand Surg Rehabil. 2018.

Tanzi EL, Scher RK. Managing Common Nail Disorders in Active Patients and Athletes. Phys Sportsmed. 1999.

Evaluation and Management of Mechanical and Structural Nail Disorders: A Clinical Review. J Am Acad Dermatol. 2025.